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ラグ・マニ・ラグ

どんな些細な事でも、ラグビーに関係する事象ならば楽しいと感じられる同志へ。


-その2- 
5月18日
日本代表がカナダに勝った!
やっぱり平尾は天才なのか?

勝った。

5月18日。秩父宮ラグビー場において、日本代表はカナダ代表を32−31で破った。

2年目を迎えたパシフィック・リム選手権。昨年のチャンピオン・カナダが昨年最下位だった日本に負けるなどとは誰が予想しただろうか? いくら天才・平尾が監督になっても、そう簡単にジャパンは生まれ変われないだろうと考えられていた。

しかし、日本は勝った。平尾監督就任以来3カ月でジャパンは変わった。宿沢監督就任直後のスコットランド15戦勝利と比べても遜色のないこのゲーム。

試合の安定感からいくと、今回の勝利のほうが上だと言える。

しかも、カナダは5月10日に53−14とアメリカを粉砕した好調のチーム。メンバーもその米国戦の時からフォワードのふたり(フッカーとナンバー8)が入れ替わっただけ。完璧な勝利だ。

試合後に競技場そばのラグビー・パブに集まったカナダ人サポーターたちは、第一の敗因にhumidity(湿気)をあげていたが、日本のサポーターとしては、「去年行って知ってると思うが、香港のhumidityはこんなもんじゃないぜ」と親切な忠告をしておくにとどめたのだった。

レフリーを務めた香港協会のポール・ヘイリー氏は、日本が32−31と1点リードして迎えた後半ラストに何と6分ものロスタイムをとって観衆からブーイングを受けたことも覚えておいて欲しい。

さて、試合のハイライト。後半36分、カナダのウイング スタンリーのトライで逆転され、さらに41分、センタープレヤー ボビー・ロス(昨年のパシフィック・リムの得点王でもある)のドロップゴールによって4点差とされた日本代表。

カナダのキックオフのボールを(多分伊藤剛臣がタップしたのを)中村航が判断良く後方に位置してキャッチ。バックスに回し、左中間22メートルあたりのラックからきれいにボールが出た時、スクラムハーフ村田は前に誰もいないのを見て突進。ゴールに飛び込んで逆転トライ。「ゴール前で相手が戻って来たので1対1の勝負。最後は滑り込もうと思った」と興奮ぎみに語った。

2カ月前、社会人大会決勝で三洋相手に開始早々先制パンチをくらわせた鮮やかな村田のトライは、記憶に新しい。今回、奇しくも、その時と同じ様な位置での同じようなトライをあげた村田だったが、「東芝で優勝した時と今日と、どっちが嬉しい?」 という質問には苦笑して「どっちも嬉しくて、比べられません」。

比べられない嬉しい勝利が次々と、この新しいジャパンの上に訪れんことを!



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-その1-

2月28日
有史以来初めて、ジャパンのジャージーに広告が縫い込まれた日

 

 アマチュアリズムは消えた。清貧の思想なぞ糞食らえ! オープン化はお題目ではなく現実となって、日本ラグビー界のやせ我慢体質をゴールポストの彼方へ蹴飛ばしつつある。
 日本代表にオフィシャルサプライヤーがついたというお披露目の記者会見が2月28日、新宿のホテル、センチュリー・ハイアットで行われた。
 こちこち頭の代表だと思われていた日本協会の内部には先鋭的な一団が存在し、それは少数派でも弱い勢力でもなく、すさまじい勢いで改革を進めている。「日本代表にスポンサーがついた? やっと? 募集から決定まで随分時間がかかったもんだ」というのが内情を知る者たちの感想だ。
 日本代表史上初めて正式のサプライヤー契約を結んだのは「カンタベリーオブニュージーランドジャパン」社。ラグビーとヨット関係のウエァー、グッズの製造販売会社だ。
 ニュージーランドの国鳥でもあるキウイバードを形どったcccマーク(カンタベリー社のロゴマーク)はラグビーファンならば見慣れたものだが、これが桜のジャージーの胸に刺繍されるとなると守旧派の神経を逆撫でするに十分の刺激的情景に変貌する。ただし、そんなクラシックな守旧派をうまく墓場の中から探し出せたとしての話しだが…。 
 さて、今回の契約、スポンサーでなくサプライヤーと発表したところから、直接の金銭による支援より、ウェアーやグッズの提供が中心だと推測される。日本代表以下、高校日本代表からU23に至るまでのデベロップメントスコッドなどにも試合と練習時のウェアーや用具が支給される。さらに初の試みとなるレプリカウェアー、グッズの販売の利益から数パーセントを提供、というような契約なのだろうか? 契約金の額など明言すると、次の入札時にさしつかえがあると仔細は発表されなかったため、あくまで推測だが。ちなみにカンタベリー社の契約期間は1997年2月から1998年8月までの実質1年半となっている。
 で、肝心のジャージー。従来の日本代表ジャージーの右胸、白地の部分に赤でcccマークが入っただけ(もしかしたら、赤白の明度や彩度、桜の刺繍などに南半球仕込みの先進的工夫が施されているのかもしれないが、少なくとも一般的視力の持ち主には違いがわからない)。
 もともと、紅白の縞に桜マークというお花見的危ういバランスの下に成り立っていたジャパンのジャージー。鳥たちの急襲で、のどかな宴会の場に収拾がつかなくなってしまったのは弱冠の美的センスを持った者なら否定できない事実だろう。
 デザイナーだのカラー・コーディネーターだのを抱えているはずのウェアーメーカーだけに、同じマークを入れるだけにしても、もう少しフレアーの感じられる仕事をして欲しかった。おそらく準備期間の短かさのせいでデザイナーは実力が発揮できなかったのに違いない。もしも、ジャパンのジャージーを一目見て、「ださい!」の一言でデザイナーが仕事を放棄していない限りは。
 まぁ、どうせ、日本代表の試合はテレビ中継されないケースが多いのだから選手の胸元をアップで見る機会など稀だ。競技場で見る限りは日本野鳥の会会員でもない限り、鳥だか桜吹雪だか名誉の出血だかわかりはしない。何より、我らがジャパンの選手がジャージーの模様など目にも止まらぬくらいのスピーディーなプレーでデザイン上の難点はカバーしてくれると期待しよう。
 それにしても、発表の場での平尾新監督の表情の暗さが気になる。人寄せパンダ的役割もしっかり覚悟した上で監督を引き受けただろうが、「なんで、こんな場にも出にゃならんのや」と、すでに嫌気がさしているように見えた。

 

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